
右腕が上がらなくなっても、私は働かされる。
痛いと言えば怒鳴られ、少しでも楽をしようとすれば「贅沢者」と罵られる。
退院してきた父は「王様」になっていた
父が退院して帰ってきたら、すっかり王様になって帰ってきました。
理由は簡単です。入院中、至れり尽くせりだった父は、感謝というものをすっかり忘れ、自分のわがままは何でも許されるという勘違い人間になって帰ってきたからです。
壊れかけの私と無神経な両親
私は母の無理難題のせいで右腕があがらなくなってしまっています。
そんな中で退院した父とわがままばかり言う母の相手をして、私も辟易しています。
「痛い」と言えば恫喝、「我慢しろ」が返ってくる
腕が上がらない中、母は私へ次々と労働を押し付けます。
父は母が私につらく当たっていることなど気にも留めません。
むしろ、私が「腕が痛い」とか「腕が上がらない」と言えば、恫喝されます。
つまり、私のことなどどうでもいいのです。
ヒーター運びが始まった10月
父が退院してきたのは秋めいてきた10月の初旬でした。
父は自分の気に入らない事にはわがままの言い放題です。
お風呂の準備をしても、「入る」「入らない」で毎日数時間揉めます。
やっと入る算段になっても、「寒い」と言うので、父が風呂から上がってきてから少しでも暖かくなるように、風呂場の近くまでヒーターを持って行きます。
ヒーター自体は10キロほどの重さなのですが、リビングから風呂場まで毎日持って行くのは意外な重労働です。
私が健康な状態ならよかったのですが、ただでさえ母に腕が上がらない状態にされている上に重いヒーターを毎日運ぶわけですから、とてもしんどい訳です。
台車を買ったら怒鳴られた
そんな中で、ヒーターを台車に載せれば少しは楽が出来るかと思い、購入しました。
私の両親はものすごいケチですから、台車を買うことでどれだけの文句を言われるか分かりませんでした。
そこで、なるだけ安いモノを検討して買ってきました。
ヒーターを台車に載せて少し腕は楽になりましたが、ここから両親の罵倒が始まります。
父:「何でこんな贅沢するんや!」
私:「どうしても腕が痛かったのですから許してください」
母:「なんぼしたんや!レシートみせてみろ!」
私:「とても安かったのです。私が払いますから…。」
父:「払う言うてるんや!お母さんもレシートみせろって言うてるやろ!」
1円でも使ったら「無駄遣い」
このままでは両親の恫喝は収まりそうにもなく、もう逃れたい一心でレシートを見せました。
いろんなお店で見て一番安いモノを買ってきましたが、両親は無駄なものに1円でも使った私を許しそうにありません。
両親の気が済むまで恫喝に耐えて聞きました。
そうでもしないと収まらないからです。
春、知らん顔して台車を使う両親
それから、また春になってヒーターを仕舞う時期になってから、その台車を使っている両親を見て、
「ああ、自分たちが言った事はすっかり忘れているんだな」と思いました。
そんなに無駄使いをしたと私を責めた事は、両親にとってどうでもいい過去のことのようです。