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宝くじ事件

ぶろぐ
ちひろ
ちひろ

24時間完全看護の入院生活ですっかり王様気分になった父。
自分の望みは100%通って当然。
そんな父に宝くじを買いに行かされた私は…。

“王様”になった父と、“奴隷”扱いの私

一か月以上にわたる入院生活を経た父は、24時間完全看護の至れり尽くせりの環境ですっかり“王様”気分に。
その一方で、私はというと、召使いどころか“奴隷”同然の扱いを受けています。
朝から晩まで怒鳴られ、命令を浴びせられ、まるで私が“クズ”であるかのように罵倒される日々。
父の気に入らないことがあれば怒鳴りつけられ、思い通りにならなければさらに怒鳴られ続けました。

私も怒鳴られるのが嫌で、とにかく「はい」と従うことで何とか回避しようとしていましたが、すべてを完璧にこなすなど不可能な話。
結局、私は毎日のように土下座を強いられるようになりました。

宝くじを買えという命令

ある日、父は突然こう言いました。

父:「宝くじを買ってこい!」

父は毎週欠かさず宝くじを買っており、感染症が流行していた時期でもそれは変わりませんでした。
自分では動けなくなったため、その役目を私に押しつけてきたのです。
買い物ついでに行けるとはいえ、私は宝くじを買った経験がなく、ひとつ買うにも確認が必要でした。

そのとき父が求めたのは、「totoくじ」や「メガビッグ」など合計1,600円分。
言われるままに購入し、父に渡したのですが――。

父:「メガビッグが発券されていない!」

私は何のことか分かりませんでした。父に言われたとおりのメモ書きを見せて売店で購入しただけだったのです。

理不尽な怒号と土下座

状況を説明しようとする私に、父は怒りをぶつけてきました。

私:「私の確認不足でした。明日、聞いてきますので、どうか赦してください」
父:「なんだと!宝くじも満足に買えないのか!」
私:「メモ書きで書いたものを売店の人に渡したのですが……」
父:「お前が悪いんだろう!」

怒りはさらに激しくなり、そこへ母も参戦します。

母:「レシートももらってへんのか!そりゃ買ったことも分かれへんよな!お前はクズや!」
私:「その通りです。どうか赦してください」

私はその場で土下座しました。
こうなってしまうと、両親はまるで当然のように私を罵倒し放題。
どんな言葉を浴びせても許されると本気で思っているのです。
私は怒鳴り声から逃れたい一心で土下座をし、それによってようやく両親の怒りが収まりました。

売店で明らかになった真実

翌日、重たい気持ちで宝くじ売り場へ向かいました。
母の言うようにレシートはもらっておらず、購入した証拠はありません。

ところが――予想外の展開が待っていました。
売店の方が私を覚えてくれていたのです。

売り場の人:「すみません。昨日、発券したものをお渡しし忘れてしまいまして。慌てて追いかけたんですが、見失ってしまって……」

そう言って、深々と頭を下げてくれました。

私:「そうでしたか。良かったです。でも、どうして私だと分かったんですか?」
売り場の人:「カメラがあるので確認できるんです。初めて来られた方だったので、かえって分かったんですよ」

私はちょっとホッとしました。

私:「分かりました。昨日の分のレシートはいただけますか?」
売り場の人:「この分はレシートは出ないんです。発券された券そのものがレシートの代わりなんですよ」

なんと、宝くじの発券ミスは単なる店側のうっかりミス。
そして、宝くじにはレシートが出ないことも判明しました。
何十年も宝くじを買い続けてきた父と母が、そのことを知らないはずがありません。
つまり、私は真実を知らされず、ただ責められるためだけに怒号を浴びせられていたのです。

あっけらかんと笑う母、そして謝罪のない帰宅

その場に付き添っていた母は、初めて知ったかのようににこにこと言いました。

母:「そうですか?そんなことがあるんですね」

売り場の方は、申し訳なさそうに粗品を差し出してくれました。

売り場の人:「よろしければ……」

それを受け取った母はすっかりご機嫌に。
私を罵倒したことなどすっかり忘れたように、幸せそうに笑っていました。

帰宅後、母は動けない父に粗品を報告し、父も発券された宝くじを見て満足そうにしていました。

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