右手が上がらなくなった理由

実は私、右手が上がらなくなっています。

これも、母にかなり無理をさせられたせいでした。

年齢とともに体力の限界を感じ始めた

親は後期高齢者ですが、私自身も団塊ジュニアと言われる世代で、50代になりました。
寄る年波には勝てず、体力的にも随分落ちてきたなあ…と感じるようになりました。

年齢によるもの、運動不足によるもの、いろいろ理由はあったと思います。
何かにつけて「指が攣つる」ようになり、体の異変を感じていました。

体力的に何かおかしいと思っていたので、できるだけ庇かばうようにして過ごしていました。
それでも症状は悪化し、ちょっと体をひねっただけでも激痛が走り、寝返りを打つだけでも悲鳴が出るようになってしまいました。

そんな中、母からの労働の要求は止まりません。
高齢の親に代わって娘である私がするのは当然、という雰囲気の中で、私は無理をしないよう工夫していました。

高いところのものを取るときは椅子を使い、重いものを持つときは少しずつ運ぶようにしていたのです。

ある日、母に「棚の上のものを取って！」と言われ、「はい」と椅子を取りに行ったところ…

「何しとるんや！椅子になんか乗るな！手を伸ばしたらええやろ！」と、突然の恫喝。

私は「手を伸ばすと痛いから、椅子を使わせてください。ちゃんと取りますから」と説明しました。

母はニヤッと笑い、「甘えるな！椅子に乗るな！」と、私をさらに追い詰めてきました。

私は「どうしてもダメですか？」と尋ねましたが、「アカンわ。甘えるな！」と聞く耳を持ちません。

仕方なく、私は手を伸ばして棚の上のものを取ろうとしました。
激痛が走り、悲鳴を上げて悶絶してしまいました。
横で母は心配する様子もなく、嬉しそうに笑っていました。

「この人に人の血は流れていない」と、私は心の底からそう思いました。

その日以来、私の右手は水平より上に上がらなくなってしまいました。
本当に、残酷な話です。

私は母に、不自由な体にされたのです。

要介護になった父は、自分の状態を前面に出して、何もかもを私にさせようとします。
荷物の持ち運びだけでなく、箸の上げ下ろしまでさせるのです。

そんなある日、荷物を落とした私に対して、父が激高しました。
「何で投げつけるんや！嫌がらせか！」と怒鳴るのです。

私は必死で訴えました。
「投げつけてなんかいない！力が残っていないだけ！落としただけ！」

そして、正直に伝えました。
「今まで心配かけると思って言いませんでしたが、私はもう右手が上がらなくなっています。
お母さんのせいです」

その場にいた母は大慌て。
けれど、自分のしたことに心当たりがありすぎて、何も言い返せませんでした。

しかし父は、さらに信じがたい言葉を投げつけてきました。

「なんや、障がい者になったということか！」

ああ、この人も同じか……。

まともな人間なら、そんなことは言いません。
この父にしてこの母あり、ということがよく分かりました。

正直に話したことで、よかったこともありました。
それ以降、重い荷物を持てと言われることは少なくなりました。

また、高い所のものを椅子を使って取ることも、許されるようになりました。
（ただし、椅子の持ち方や置き方には母からの文句は続きます）